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2021. 08 / 18 日々の暮らし ]

苔の森

 

苔天国の八ヶ岳は高見石小屋周辺。

ガスが立ち込めた誰もいない苔の森の中を歩いていると不思議な気分になってくる。

時間感覚も、何やら時代感覚までもが失われてくる。

 

腐海の底に落ちたナウシカとアスベルのごとく、ただここにある繰り返される自然の姿を見続けて、

さらに奥へと分け入っていく。木が朽ちそこに苔が生える。大きな岩にも石にも。

苔によってフォルムが変わり、森にやわらかな曲線がもたらされ、森の明るさも苔が決めている。

 

苔は生えるのでなく「むす」。苔むす。長い年月や永久という意味を持つけれど、この森に来れば

そのことは体感できる。苔の森が持つ時間は我々の時間とはちがう。

「本当に美しいと思えるものは時間に耐えてあるものである」とは杉本博司さんの言葉です。

この森の美しさは時間そのものでした。

 

 

 

2021. 07 / 23 日々の暮らし ]

北鎌倉の舎(改装)

「北鎌倉の舎」もだいぶ工事が進んできました。

外壁の塗装作業を終えて、先日はHさんご夫婦と植栽の打合せを造園家と行いました。

 

北鎌倉にある谷筋の一角にあるのですが、車が入ってこられない敷地なので本当に静かです。

小鳥のさえずりと木々の音だけ。

静かな環境は確実に人の心に影響します。敷地にいるとおのずと穏やかな気持ちになる。

敷地の持つ力は本当に大きなものだと感じます。

当初からこの魅力のままに設計してゆけばいい。そう思わせてくれた敷地です。

 

ただ、悩みがないわけではありません。

どうしても周辺の山からの雨水と、谷地ゆえの湿気が6月~7月に高いことです。

風通しはかなり注意してプランしましたが、根本的な湿気は難敵です。

湿度による建物の傷みも長期的には心配です。

 

この環境を造園家との事前打合せでも相談していたのですが、

実際に敷地を見てもらうと、敷地環境をまず変えてゆくことが先決との話になり、

Hさんご夫婦にも話をしてもらいました。

とかく見栄えのする植栽の話が先行しがちですが、暮らしを楽しむためにはここは

そうした環境の改質に外構のコストを振り分ける必要がありそうです。

 

植栽といっても周りにはふんだんに木々はあるので、要所に季節を感じるもの植栽が欲しいこと。

すでに古くから敷地にある紅葉の大木は少し整える程度として生かすこと。

アプローチの踏む石を今のものと変えて、新しい家と馴染むものにしたいこと。

そしてHさんご夫婦からアジサイを植えてほしいこと。

そんな事を造園家に相談し依頼しました。

 

さて一月後の造園家の提案を楽しみに待ちたいと思います。

そして、少しでも湿度が下がって梅雨時を過ごせる家になってほしいと思います。

 

 

 

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