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2019. 10 / 14 建築のこと ]

レトロなチカラ

銀座にある1932・34年竣工のレトロなビル。近くに行く用がある時は必ず前を通ります。

銀座にある目新しいどのビルよりも私はこのビルが好きです。

 

川元良一という方の設計です。詳しくはないですが九段会館が代表作になる方でしょうか。

スクラッチタイルの経年の味わいがたまらないし、両開きの窓も趣がある。

窓辺の緑などと眺めていると、周りの近代的なビル群にあって時代と国が違うような錯覚すら覚えます。

こうした古いものはなぜ魅力的なのだろうかと通るたびに考えます。

私自身は同時代に作られた古い日本家屋で育ったので、染みついたようにレトロなものに愛着がある

のかもしれません。若い人たちでも懐かしさや落ち着く感覚をこういった建物に覚える方は

多いと思います。

 

当時、この建物は高級アパートととして誕生していて、いわば時代の最先端をいく建物です。

将来レトロと言われるなんて誰も想像してなかったでしょう。

そうなると今の価値を生み出しているのは、やはり「時間」を経た何かなのでしょう。

都市や街が「時間」を溜めておける場所ではなくなってしまった。

その場所にあって「時間」を見せている。そんなことを感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

2019. 10 / 04 建築のこと ]

発想のメソッド

「茶の間」っていい言葉だなと思います。お茶を飲む暮らしの空間という表現が素敵です。

畳敷きに、ちゃぶ台、タンスが並び。縁側を介して庭がある。古き日本の暮らし。

言葉から日常の「風景」が想像できるようで、いい言葉です。

 

設計者にはそれぞれ発想のメソッドのようなものがあると思います。

私の場合は、この「風景」というものを思い描きながら建築を形作っていきます。

写真の食堂に、ご夫婦が楽しそうに会話をしながら食事をしているのを想像してみてください。

低めの照明は円卓をすっぽりと包むように照らしてくれますし、

低い天井は囲われる安心感があります。そして、この食堂にはTVもないのでゆったりと

静かな「風景」と「時間」作ってくれます。

 

設計の要望以外にも、暮らしの様々なことを聞きながら設計にあたりますが、

何のためにしているかというと、お施主さんのことを「知らない」と風景の中にお施主さんが

登場しない。。。ためです。

一定のリアリティのようなものがつかめないと、いくら想像しても空振りになってしまいます。

 

専門学校を卒業する時に忘れられない言葉をかけてくれた先生がいます。

「設計とは一つの小説を書きあげるくらいの想像力が必要だ、卒業にあたりこれから建築の

世界でやっていける自信のない者は去れ、中途半端で続くものではない」と。

「おめでとう」ではなく。「去れ」と言った言葉は「小説を書きあげるくらい~」という

言葉とともに心に残りました。

 

建築の設計はストーリーがあって生まれてくるものです。

よいストーリーが、いい空間を生み出すのは経験上確かなことです。

とはいえ、できた家は饒舌なものでなく、寡黙な静けさに包まれているようなものになれば

いいと思います。

 

 

 

 

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