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2025. 12 / 25 建築のこと ]

house in Kamakura | 鎌倉の舎

house in Kamakura  |  鎌倉の舎

 

鎌倉市で住宅新築

30代のご夫婦とお子さん2人と猫ちゃん2匹のための住宅計画です。

土地探しからご一緒させて頂いており、小田原市の敷地なども検討しつつ辿り着いたのは鎌倉市の北辺の丘陵地でした。

日当たりのよい敷地は、南西に眺望が拡がり、周囲には森が望める敷地。風も季節を問わず良風が流れている気持ちのいい敷地です。

 

様々な計画が成り立つ敷地なので「とっかかり」をお施主さんと探しながら計画をまとめました。

眺望を優先して2階を暮らしの中心にするか。家庭菜園を設ける庭や植栽といった地面との近さを取って1階を中心にするか。既存建物が建っていたので現調しつつ、お話を伺いながら見極めていきました。

結果、ご提案は1階中心案としました。とはいえ2階に小さいですが家族室を設けて眺望も取り入れて敷地の可能性を使い切るような計画に練り上げてあります。

 

模型の敷地表現は、既存家屋の解体が終わって、整地の状況を踏まえてから作ります。

 

Harmony with nature | 自然との境目の調和

 

自然との境目の調和」これは当事務所の通底するテーマとしているのですが具体的に言うと、境目とは建物の「外側」と「内側」との境界です。その中心は窓の扱い方になるのですが、どうやって「外側」と「内側」を気持ちよく感じ取れる設えにするか。

 

木製の建具も一つの方法(北鎌倉の舎)ですし、建具を引き込んで間仕切るものをなくしてしまって開放的な設えにすることもあります。(にびいろの舎)

都市部の密集地なので窓をなかなか開けられない環境では、光を印象的取り入れています。(二人舎)

 

北鎌倉の舎

 

にびいろの舎

 

二人舎

 

鎌倉の舎ではまた違う設えで境目を考えていく計画です。そちらは追々ご紹介させてください。

 

Rain sound | 雨音のデザイン

 

 

「雨音が聞こえる家」というご要望を頂きました。

1階リビングとなる箇所を下屋にしているのは、そのご要望への返答です。鋼板葺きの大きな下屋に雨があたり、その雨音は室内へと入ってきます。あえて遮音性は高めずに自然の音を楽しめる計画としています。雨は鎖樋を伝わせて地面へ浸透させてゆく予定です。

雨を音で感じて、鎖樋に流れ落ちるさまも見られるので、できれば「雨のデザイン」のようなことを今回考えたいと思っています。

 

Niche | 壁のくぼみ

 

 

壁のくぼみも特徴的です。奥行きをとることで囲われている安心感や視線の誘導などをもたらしてくれますので要所で設けています。

ご要望をしっかりと反映しつつ、建築的な要素を多分に取り入れながらもシンプルな構成としています。

 

竣工は27年のはじめを予定しています。

 

 

2025. 12 / 24 建築のこと ]

建築探訪 | 直方体の森

建築探訪 | 直方体の森

 

会期も短くてついつい行きそびれていた「中村正義の美術館」へ行ってきました。場所は川崎市麻生区です。異端児と呼ばれた画家の作品を見ると同時に、この美術館の設計者は篠原一男。作品名を「直方体の森」といいます。長年作品集で見てきた「気になって仕方ない」建築の一つです。画家も設計者もそれぞれの世界で異才を放った人物という建物です。

 

この美術館は車でないとなかなか行きにくい場所にありました。近くには読売ランドのある丘陵地にあり、庭ともども素敵な立地です。自宅から車で30分ほどに作品集でさんざん見ていた「直方体の家」があるとはなんだか不思議な気分になります。

私があらためて篠原一男の説明とはおこがましいですが、ご存じない方にごく簡単にすると、1950年代から前衛的な住宅作品を設計し「住宅は芸術である」とするスタンスの元で生み出された作品群は、その後の多くの建築家に影響を及ぼしました。カリスマ性があり、難解ではあるものの論説もまた魅力的な建築家です。

住宅作品が多いということは「見学」できない作品が多いことを意味します。吉村順三しかり住宅を中心に活動した建築家の作品を見る機会は意外と少ないものです。1950~70年代のものとなると多くは取り壊されており、作品集でしか触れることのできない建物というのがほとんどです。私も篠原一男の建物を見るのは2回目です。

 

この直方体の森は、元は画家中村正義の住まい兼アトリエとして使われたもので現在は美術館として定期的に公開されています。内部は基本的に撮影禁止。

 

数学者が作る建築

 

 

この建物はその名の通り、直方体の組み合わせでできています。これがまぁ見事です。第一印象は「頭のいい人が作る建築」です。

こうも見事に直方体を組み合わせて、単調にならず、破綻なく無理がなく、庭も取り込みつつ、それでいてどこにもないスケール感を持ってくる。部分的な印象で見ていた作品集から、身を置いて全体がつながるとその完成度にしびれます。決して面積的に極端に大きくはなく、特筆するディテールも特にない。もっと難解なものを勝手に想像して訪れたのですがあっさりと裏切られました。前衛建築家の作品ですがちゃんと暮らせます。

 

ちょっと詳細な寸法はわかりませんが、玄関ホールから広間と呼ばれる空間は吹抜で天井が高くなっています。2階にある二つの寝室へはそれぞれ別の階段でしかいけません。

とても面白いプランです。順繰りに館内を進むと、直方体の森とは絶妙なネーミングだと気がつきます。コンセプトをここまでシンプルに落とし込めるセンスは、きっと元数学者であるここと関係あるんだと思います。建築がここまで数学的なものに感じられたのは初めての経験です。事前に篠原さんの経歴を知っているが故のバイアスもありますが、差し引いても数学的読解を感じます。

 

構造的な制約や発想から数学的読解をしている建築物は見たことあるのですが、この建物は根本的に数学脳で解いているような気がします。

数学がそれほど得意でない人間からすると「尊敬」しかありません。

 

帰宅後、篠原一男作品集を引っ張り出して再読しています。あらためて面白い作品ばかりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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