映画「AALTO」を観てきました。
映画館で映画を見るのは久しぶりです。吉祥寺のミニシアターで金曜日17時の上映で客は7人。
ミニシアターって好きな者同士で映画を見ている感があって面白い。
ドキュメンタリーですが公開中なのでネタバレ的な話はしません。「アアルトを知る」ことができる
映像がきれいな素敵な映画です。
アアルトは自らの建築を語らなかった建築家です。どうしてこの計画になったのか。各部の形状が
どのような意図と意思で作られたのか。ほとんど言説として残っていない。
多くの言葉を残した建築家と違い、そのことがむしろこちらの好奇心を刺激します。
言ってみれば答えがないので、こちらが想像したことがそのすべてというのは逆に自由で面白いです。
アアルトの建築写真集を何度となく繰り返し見ていても飽きることがないのは、そういった「ゆだねる」
感覚があるからだろうと思っています。語らずとも伝わる建築のすごさが前提ですが・・・
世の中が効率や合理化へ向かうほどに、アアルトの建築はその佇まいを強くするように感じます。
そうした文脈から乖離して自然へと向かった姿は生誕125年を経てむしろ輪郭を増して、なにかこう
こちらに勇気をくれます。
この映画の中では私がずっと疑問に思っていたことに触れているシーンがあり、それがアアルト自身の
肉声で聞けました。そのワンシーンだけでも見に行った甲斐がありました。