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2019. 10 / 17 建築のこと ]

風景と空間

この場所にくると必ず写真を撮ります。手前の木陰と奥に海と光という明暗のある風景が面白くて

撮ってしまいます。遠く地平線にバニシング・ポイントがある構図なので奥行きも生まれてくれます。

 

こうした風景の印象というのは、空間づくりの際に影響として現れてくるものだと思います。

潜在的にたくさんの素敵な風景の記憶がしまってあって、建築を考えている時ににじみ出てくるような

感覚で顕在化してくる。意識的なこともあれば無意識で気づかずにやっていることもあるのだろうと

思います。

 

 

二人舎の玄関からキッチン・食堂への廊下の写真です。

求めていることは明暗と奥の光という構図です。手前の玄関にも光があるので、光と暗がりを

行き来する空間として想定して設計しているのですが、意識の底には写真の場所も含めた多くの

風景が下敷きになっているようにも感じられて面白いです。

自然が生み出す情緒を、空間にもたらせたら豊かな空間になるだろうと思います。

とは言え、直接的に自然を設けるのはナンセンスなので、光を上手く使って情緒を生み出したい。

風景の再生を生み出したいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019. 10 / 14 建築のこと ]

レトロなチカラ

銀座にある1932・34年竣工のレトロなビル。近くに行く用がある時は必ず前を通ります。

銀座にある目新しいどのビルよりも私はこのビルが好きです。

 

川元良一という方の設計です。詳しくはないですが九段会館が代表作になる方でしょうか。

スクラッチタイルの経年の味わいがたまらないし、両開きの窓も趣がある。

窓辺の緑などと眺めていると、周りの近代的なビル群にあって時代と国が違うような錯覚すら覚えます。

こうした古いものはなぜ魅力的なのだろうかと通るたびに考えます。

私自身は同時代に作られた古い日本家屋で育ったので、染みついたようにレトロなものに愛着がある

のかもしれません。若い人たちでも懐かしさや落ち着く感覚をこういった建物に覚える方は

多いと思います。

 

当時、この建物は高級アパートととして誕生していて、いわば時代の最先端をいく建物です。

将来レトロと言われるなんて誰も想像してなかったでしょう。

そうなると今の価値を生み出しているのは、やはり「時間」を経た何かなのでしょう。

都市や街が「時間」を溜めておける場所ではなくなってしまった。

その場所にあって「時間」を見せている。そんなことを感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

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