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2022. 02 / 02 建築のこと ]

住宅の寿命

何年か前に「10年くらい持つ建物を設計できませんか?」と尋ねられたことがありました。

結局、実際に設計することはなかったものの、その問いかけの面白さだけは記憶に残りました。

時々はて、そんな建物は実現可能だろうか?と空想にふけることがあります。

 

自分が設計している木造住宅の寿命は何年なのかということは当然考えます。

統計でいうと、国土交通省が2016年に出している統計でいうと日本の木造住宅寿命はおよそ30年と

出ています。これは、物理的な住宅の寿命以外の要素も多分に入っている数字なので、

一般的な住宅の寿命(物理的)の数値の参考にはなりにくいものの、意外と短いと思う方が大半では

ないでしょうか。それほど日本ではスクラップ&ビルドをしています。

ちなみに欧米はざっと倍以上の寿命になっています。

もちろん環境がちがうので一概にいい悪いの話ではありません。

 

物理的な寿命の答えは実は簡単です。それは60年という時間です。

つまり基礎のコンクリートが60年ほどで中性化によるコンクリートの劣化、

ともなう鉄筋の錆が進行する現象を派生しやすくなることに

起因するもので、一つの目安になる数字と考えています。

長期優良住宅などのように、さらなる耐久性を持たせるにはコンクリートの劣化対策が必要です。

 

ただ、長期優良住宅にある100年というスパンで、本当に住み継がれていけるのかという今度は

寿命とはまた別の疑問も浮かんできます。

それでもローンを組んで建てた住宅が、30年でなくなるのは短期過ぎて忍びないと思います。

 

さて当初の疑問。「10年くらい持つ建物を設計できませんか?」という答えはというと。

徐々に朽ちていって、10年くらいすると土に還り始めるなんていう建物は面白いなと思います。

時間を設計していることになるので、とっても面白いテーマです。

どうしたらそんなことができるだろうと考えるのは楽しいです。

 

でも、実はこの質問にはつづきがあって「10年持てばいいので安く建てられるでしょう?」でした。

これは安くなりません(笑)

多少建材でコストは下げられるでしょうけれど、60年の6分の1のコストには当然ならない。

2分の1にすらなりません。

バラックのようなものであればそれはできますが・・・普通の住居環境を保ったままでは、

ゴメンナサイ・・・。

 

(写真は築74年を超えた建物の梁です。湿潤環境ゆえに白アリに過半がやられてしまっています。

それでも補強をして修繕できるのは、木材の良いところでもあります。この建物はあと26年で

100年ですから、間違いなくそれまで使い続けられることになると思います。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022. 01 / 28 建築のこと ]

建築探訪 

茅野市|神長官守矢史料館

 

登山でよく茅野市へ行くので、この「神長官守矢史料館」(じんちょうかんもりやしりょうかん)を

見たかったのですが、コロナ過で閉まっておりようやく訪れることができました。

藤森建築は5つ目の見学です。

 

館の方に丁寧にご案内頂き、竣工から30年を経た建物の成り立ちを聞かせてもらいました。

言葉の端々から、この建物が地域の方からとても愛されていることがよく伝わってきます。

雪の降るかじかむような寒い日でしたが、あたたかな気持ちにさせてもらいました。

とってもいい時間を過ごしました。楽しかった。

 

沢山の建築を見てきて思うのは、何よりの建築の価値は、必要とされ長く使われることです。

長く使われることで、建物が建築家の意図を超えて存在する状態になることがある。

時間に晒されることで、短期的な設計者の意図や我が消えて、核心部だけが現れてくる。

そういう状態の建物が見れるととても嬉しく、建築探訪の最たる醍醐味はそこにある。

なので割と真新しい建築物よりも、竣工10年くらい経っていると見に行きたくなる。

見たいのは建築家の我ではなく。どうしようもなく現われてくる核心部。

 

藤森建築はいつも楽しい。そもそも核心部むき出しのようなものだけど、時間を経て

なんだか江戸時代くらいの建物の風情さえあって、時間を吸収しているような不思議な印象を

受ける。朽ちてゆくことに抵抗感がない。稀な建築を見ました。

 

 

 

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