2020. 09 / 08 [ 建築のこと ]
簡素な力
千葉県佐原市の伊能忠敬の旧家。
国の史跡だそうです。50歳までここに暮らし、その後江戸へ出て測量の道へ進む。
写真はその書院と呼ばれる建物。無駄な装飾もなく合理的で、こうした日本の家屋が「線」によって
作られていることがよくわかる建物です。
さらに、天体観測から測量事業を志した人間の住まいといえば、
なんか納得させられる佇まいを感じませんか?
概ね伝統的な建物は簡素であるほどに魅力を増すようなところがありますが、
今の時代ではまったく映えないので・・・その魅力がなかなか伝わらないと思います。
見方がわからないとただの古い建物にしか見えないのが日本建築の悲しさ。ヨーロッパの古城のような
ロマンチックさも、ゴシック建築の荘厳さもないので、一瞬で伝わるわかりやすさがない。
ふーん。といった感じで眺めて立ち去る観光客に建築好きとしては寂しさを感じてしまいます。
ただ、この旧家は私にとっては簡素な魅力以外に特別なもので、ご先祖の家なんです。
なかなか実感などわかないものの、ここで暮らした忠敬さんは私にとってご先祖様。
この日は近くにあるお墓にもお参りもして、はじめてちゃんとご挨拶してきました。