2021. 09 / 14 [ 建築のこと ]
メタボリズムの終焉

「中銀カプセルタワービル」1972年竣工のマンション。来年での解体が決まったということで
先日寄り道をして、これが見納めかと目に焼き付けてきました。
カプセルホテルの生みの親である建築家・黒川紀章さんの代表作。
幼い頃に見た時の違和感・異物感。特に丸窓の集合体には恐怖さえ覚えました。(今でも怖い...)
しかし、あらためてしげしげと見ているとすごい存在感で迫ってきます。
建築の見方は沢山ありますが、竣工後も設計者のエネルギーが消えず、逆に発散し続ける建築という
点でいうと、まさに設計者の執念のようなモノを感じずにはいられない建物です。
端的にメタボリズムという考え方を表出できた稀有な存在です。
見ていると、未来を想像することが今よりも明るくて、ポジティブだったんだなぁと思うんです。
SF的な世界観に近い建築ですから、小松崎茂(箱絵アーティスト)が描くような世界の建物で、
よく作ったなと感心してしまいます。
「増殖」「新陳代謝」というコンセプトを掲げた建築が増殖から減少へ。新陳代謝から都市の老朽化へ。
と50年を経て変化した時代に幕を下ろすのは象徴的だと思います。
70年代にあったようなワクワクする未来を失ってしまったんだなとちょっと寂しさすら感じて
しまいました。気軽にちょっと見て行こうと立ち寄ったのに、いろいろ考えさせられるのは、
この建築がいかに時代性をまとっていたかの証なんだろうなと感じ入ってしまいました。
ただ切ない話ばかりではないようです。
カプセルのいくつかは切り離されて展示されたり、第二の人生を歩むようですから、
それはそれで面白そうです。いつかどこかでカプセル内部を体験してみたいものです。
建物を見るのに足元もいいですが、対面の歩道橋からは上部全景が見れてお勧めです。
