2021. 03 / 25 [ 建築のこと ]
お茶と棟梁
様々な職人の手で家は作られていくけれど、やはり大工さんがその長だと思っています。
その大工さんの親方を棟梁と呼ぶのですが、今まで何人もの棟梁と仕事をさせて頂きました。
昔気質で無口でとっつきにくいけれど抜群に腕のいい方。
若い方で階段を作るのにとても時間がかかった人。早いのはいいけれどちょっと雑な人。
簡単なスケッチと口頭のやり取りだけで作り上げてしまった宮大工の棟梁。
先日ブログに書いた手間を惜しまずに仕事をしてくれる棟梁。
それぞれにみなさん個性的ですが、共通することは恥ずかしい仕事はしないというプライドがあること、
責任感があること。腕の立つ人ほど怖がりであること。
図面に書ききれないような将来に不具合が起きそうな点や、材料選定のチェックなどは経験値が
ある方ほど厳しく指摘してくれます。図面を鵜呑みにせず、結果ダブルチェックとなることは
とても重要なことで、設計者の経験不足や想定不足をカバーしてくれる存在です。
北鎌倉の改装での棟梁は、もう4軒ご一緒頂いている棟梁。
先日はお茶の時間を過ぎて到着したのに、気を遣って頂きコーヒーを淹れて頂きました。
陽の当たる一角でしばしお茶タイム。
おかげで忙しさで疲れ気味の頭が、早春の鎌倉の陽射しの中でボーっとできて癒されました。
技量はもちろんなのですが、お茶と言ったらこの棟梁。10時と15時にアラームが現場に鳴り響くと
作業の手を止めて、ポットとお菓子の袋を並べて、「コーヒー?お茶?」って聞きながら
みんなのお茶を淹れてくれます。
私も一緒に職人さんと一息入れる。こんな現場ってありそうでないんです。
それは棟梁の人柄ゆえです。その人柄に惹かれていつも仕事をお願いさせて頂いています。