2020. 10 / 16 [ 建築のこと ]
静寂の建築
金沢で「鈴木大拙館」を見る。
設計者の谷口吉生さんは私の憧れの方です。
そもそも建築をはじめたきっかけがこの方の設計した建物の美しさに魅了されたからです。
谷口さんの建物には秩序があり、その秩序の構成と身体感覚の調和が魅力だと思っています。
秩序は自ずと静寂を生み出します。その点でこの「鈴木大拙館」は谷口建築のそういった一面を
すくい取ったもののように私には感じられました。
おのずと館内で話すことが躊躇われるようになる。前日に見た「21世紀美術館」とは対極的な建築で、
建築がもつ多様性は本当に奥深いものに感じます。
人の心理に働きかけてくるような建物はどれもとても面白いです。
住宅などはあまりに秩序だってしまうと堅苦しい。生活には、もう少しゆるくでもゆるすぎない。
美術館には「見せる」視点。住宅には「生活」への視点。
金沢はお茶屋から武家屋敷、洋館、多くの美術館まで様々な建築を見ることのできる「建築の街」
建築好きにはたまらない場所です。
水盤の水平と建物がつくる水平の調和がきれいでした。