2021. 01 / 14 [ 建築のこと ]
拡がる光がもたらす空間
静かな面持ちに設計した寝室です。
既存のアルミサッシのフレームを隠す十字の意匠を施した窓から、東の光を取り込んでいます。
改装計画ですが朝陽で目覚められるようにと配置を考慮しました。
インテリアのシンプルさと白い壁に拡がる光は、空間にちょっとだけ透明感を足したような
印象をもたらしてくれるので好んで設計に使っています。
取り込む光にも種類があると思っているんです。
季節によって夏の遮りたくなるほどに強いものから、春のどこかのんびりとしたやわらかなもの。
秋は陽が短くなる寂しげで繊細なもの。冬は透明で透き通ったもの。
そうした季節それぞれの光を上手く取りこめる窓を設計したいと考えています。
写真の寝室。都内の密集地なので窓を開けると隣家の外壁やバルコニーが迫っています。
開け放てるような環境ではありません。
なので窓にはいつもカーテンがある前提で設計しています。
そうすることで、より拡散する光を取り込めます。カーテン生地も選定させて頂き、
その意図に合うものを取り付けました。
迫る隣家を見て過ごすよりも、こちらの方が穏やかな暮らしができると思います。
あえて縁を切ることも窓の設計次第ではできますし、その上で室内の印象を変えることも
できます。
風を引き入れたいときには、左右のパネル板が目隠しになって室内が見えません。
隣家のバルコニーに人がいると覗かれる位置なので、こうしたちょっとしたことで
お互いのプライバシーも保たれるので、寄り添って人が暮らす環境では大切な
配慮になると思います。暮らしてみて大事なのはこういうところでしょう。
窓一つ。いろいろな工夫とアイデアで暮らしを支えてくれる箇所なので、
設計していてもとても楽しい時間です。