2024. 07 / 07 [ 建築のこと ]
現場監理 | 外装

Exterior | 外装
武蔵野市の新築住宅は黒い透湿防水シートを貼り、木製建具の枠の施工も終えて外壁材を貼る工程に入りました。この住宅は設計者の自邸なので、普段ならお施主さんには提案しにくいような材を使って少し冒険もしたいな。そう思って外装の仕上としては本来使わない材料を選んだので今回はそんな話を書いていきます。
計画段階で外装を木材にしようと決めて、担当頂く工務店さんに「ラフで粗っぽいもので構わない」ので「安くていい材料はありませんか?」と相談した中で、本来は下地材であるラス板を使ってはどうか?とご提案頂きました。「それは面白そうですね(笑)」っといたずら心のようなものに響いて即決採用となりました。
ラス板というのは、モルタルの外壁で下地として使われる幅の狭い木板です。昭和の時代には本当によく使われていた材料でした。近年は合板材料に取って代わり、ほとんど使われていない材料です。仕上げ材ではないので節もある材ですし、施工後のあばれ(伸縮や膨張)も考えられるのでなかなか使う人はいないと思います。お施主さんに提案するには勇気のいる材です。
Rough | 粗さ
安価な材料ではありますが、もちろんそれだけで採用したわけではなく求めたのは長い年月で経年変化して表情を変える材料です。
経年変化を劣化と見るか、味わいと見るか?
これは人それぞれの好みだと思いますが、私としては自然に抗うことのない状態が好きなので、次第に退色していく過程も楽しみたいと思っています。
使う材は新たに製材してもらいました。在庫がないからなんですが、さらにその際に表面をきれいに製材せずに粗いままにしてもらいました。
整いすぎた建築ではなく、『少し粗いモノ』というのを計画全体のイメージしています。
何十年も経った頃には、アンドリュー・ワイエスの絵に登場しそうな風情になってくれないかと思っています。

現場に搬入されたラス板。
とはいえ、さすがに使ったことの材料なので楽しみと同時に、うまくいくのか?という不安も感じます。
現場でも珍しい仕上げに職人さんたちは仕上がりはどうなるのかと雑談しています。失敗したら下地材だけにモルタル塗ってしまう手があるねと笑いがこぼれます。
これからますます暑い中での作業となる棟梁には頭が下がりますが、まずはどんな風になるのかドキドキします。当面の現場監理は『うまくいくように』と念じながら通うこととなりそうです。
乞うご期待ください。
