2022. 01 / 28 [ 建築のこと ]
建築探訪
茅野市|神長官守矢史料館
登山でよく茅野市へ行くので、この「神長官守矢史料館」(じんちょうかんもりやしりょうかん)を
見たかったのですが、コロナ過で閉まっておりようやく訪れることができました。
藤森建築は5つ目の見学です。
館の方に丁寧にご案内頂き、竣工から30年を経た建物の成り立ちを聞かせてもらいました。
言葉の端々から、この建物が地域の方からとても愛されていることがよく伝わってきます。
雪の降るかじかむような寒い日でしたが、あたたかな気持ちにさせてもらいました。
とってもいい時間を過ごしました。楽しかった。
沢山の建築を見てきて思うのは、何よりの建築の価値は、必要とされ長く使われることです。
長く使われることで、建物が建築家の意図を超えて存在する状態になることがある。
時間に晒されることで、短期的な設計者の意図や我が消えて、核心部だけが現れてくる。
そういう状態の建物が見れるととても嬉しく、建築探訪の最たる醍醐味はそこにある。
なので割と真新しい建築物よりも、竣工10年くらい経っていると見に行きたくなる。
見たいのは建築家の我ではなく。どうしようもなく現われてくる核心部。
藤森建築はいつも楽しい。そもそも核心部むき出しのようなものだけど、時間を経て
なんだか江戸時代くらいの建物の風情さえあって、時間を吸収しているような不思議な印象を
受ける。朽ちてゆくことに抵抗感がない。稀な建築を見ました。