2019. 05 / 07 [ 建築のこと ]
素材見聞旅
このGWに奈良と京都へ行ってきました。
奈良は中学の修学旅行以来30年ぶり、京都は4年ぶり。
様々なところへ行きましたが、印象的だったのは「河井寛次郎記念館」の登り窯(写真上)と
mina perhonen galleriaの黒革の床(写真下)です。
建築における素材というのは料理の世界、特に和食に似ているなぁっと思っています。
できるだけ素材そのものを生かし、素材の風合いや趣を空間と調和させてゆく。
既製品であふれた空間よりも、吟味した素材によってつくられた空間が持つ質は別格です。
素材がよければ料理人は腕のふるいがいがあるように、建築でもそれは同じです。
ただ、いい素材=高級素材なわけではないんです。
この登り窯のように、経年変化による味わいの有無の方が大切だと思います。
積層された石材や土がその熱によって変化し、煤の跡とともに力強いものになっています。
こんな力強い建築があったら面白いなぁと思わせてくれます。
根源的な人の営みをとても直接的に感じさせてくれてグッときました。
料理でも趣向があるように、素材で遊んでいる楽しさが黒革の床にはありました。
もっと傷んでいるものという予想を裏切ってとてもきれいなままの革の床に驚きました。
靴で歩くとわずかに弾力があって、”あれ、タイル張りじゃないの?”
と知らずに踏みしめた人を煙に巻くような面白さがありました。遊び心のある使い方が素敵でした。
自身の設計でも革を使います。
「二人舎」の階段手摺では安価なべニア材ながら手が触れる箇所は革を張っています。
手が触れる箇所での革はとてもいいものです。
instagramにも旅の写真を載せてます。こちらもぜひ。
「二人舎」階段手摺