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2025. 12 / 07 建築のこと ]

建築探訪 | 谷村美術館

建築探訪 | 谷村美術館

 

ようやく念願の谷村美術館を訪れることができました。

新潟県の糸魚川市にある木彫芸術家 澤田政廣の美術館です。1983年に開館していますから竣工42年経っています。この見た目です。要塞とか岩とか、とにかく「かたまり」感を感じます。

 

これを設計したのは村野藤吾。代表作がありすぎて何をあげたら良いのかわかりませんが、目黒区役所や日生劇場、世界平和記念聖堂は村野さんの設計です。

茶室から教会、オフィスビルに劇場、ホテルなど。そして、この人ほど多様な設計手法や表現を持っていた人は日本においては他にいないのではないでしょうか。

どれも一目で村野藤吾設計とわかる意匠と空間性があります。いったいどれだけの才能と努力と執着心だろうかと驚嘆します。

 

 

そして、1984年に亡くなる最晩年に設計されたのがこの谷村美術館です。
シルクロードの遺跡をイメージしたと説明があるのですが、たしかにという感覚とそれだけには納まらない「何か」も感じさせてくれます。内部は撮影禁止ですので、ぜひ検索してみてください。言語化を彼方に押しやるような造形にあふれています。

 

訪れた時間帯が自然光のみという一日2回だけのタイミングに内部を見学できました。照明がない方がこの空間をより色濃く見ることができます。自然光での空間を一義に設計したことが明確です。照明がついたら若干がっかりするくらい・・・。村野さんはこじんまりとした茶室以外は結構照明照度をしっかり採る印象がありますが、ここはもっと暗い方が好みです。

これから行かれる方、この自然光の展示時間に合わせて行かれることをお勧めします。11時と15時の一日2回です。

 

造形という建築表現

 

 

外観を見て思い起こすのは、建築マニアであれば西アフリカのマリ共和国の建築かもしれません。もちろん行ったことはありませんが土造の造形感覚に近しいものを感じます。

日本の建築界にその後、造形的な村野さんの建築を引き継いだような流れは生まれることはなかったと思っています。村野さんだけが率先して行った表現だったと思います。数寄屋建築も設計しつつ、この造形表現も使う村野さんの特異性はそれゆえに際立っています。ただ村野さんは言説も少ないので、真意の程は建築から読み取るしかありません。

面白いのは、近年少しづつ造形性のある建築表現が増えてきていることです。とくに若い建築の方は装飾や造形に対して新しい価値観を見出しているような気がしています。

 

私の設計でも曲面が多いのは一つの特徴だと思います。造形は手を動かしていく過程で生まれるもので、理屈よりも先に「勘」みたいなものが働いて取り入れています。その方が空間がよくなると思ってのことです。谷村美術館も「手造り」はキーワードだったそうで、館内を巡ると意図がよくわかります。

 

それは、なんというか建築の温度感みたいなものがおかしな言い方ですが人肌温度とか、そんな感覚を受けるんです。ガラス張りの建築や秩序だった空間に比べると温度感が高い。

内省的で人の心情が内へと向かう空間ですから、その温度感のおかげで閉塞感や圧迫感がないのかなと思ったりします。

しかし、この建築体験はそうはないもので、面白くてすっかり長居してしまいました、思い切って足を運んで得難い経験となりました。

 

ちなみに、12月の雨の平日の午前中で、他の来館者はいませんでした。おかげで貸し切りでじっくりとゆっくり見ることができました。

 

 

 

 

 



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