architecture design atelier
home  >  works  >  house in Kitakamakura
  • 北鎌倉の舎-1

    新たに屋根を設け、ひっそりと佇むような雰囲気を持たせたエントランス

  • 北鎌倉の舎-2

  • 北鎌倉の舎-3

    車の入れない小道の先。緑の中にある孤を描くアプローチが玄関へといざなう

  • 北鎌倉の舎-4

    南に向いた木製窓が陽光と庭を向かい入れる。
    床材は家具との相性から青森産カラマツ材

  • 北鎌倉の舎-5

    鎌倉の豊かな自然の中で、爽やかさを感じさせる外壁の色。晴れの日だけでなく、
    曇りや雨の日も明るい印象を保つ

  • 北鎌倉の舎-6

    出窓状のソファは読書にもうってつけの場所。落ち着きと静けさを感じ取れる

  • 北鎌倉の舎-7

    定番のラワン材と真鍮の引手の組み合わせのキッチン。
    使いやすく空間にもよく馴染む。小窓は調理時の換気用を兼ねている

  • 北鎌倉の舎-8

    出窓からの光をやわらかくバウンドさせて室内に導いている。
    光の変化でも季節の移ろいを感じ取れる

  • 北鎌倉の舎-9

    LDKの天井には時間を経てきた丸太の梁を「飾る」ようにして見せている。
    アール壁が視線を自然に「庭」へと誘導する

  • 北鎌倉の舎-10

    アール壁で柔らかな印象をもたせつつ、カーテンボックスも兼ねるデザイン。
    光が柔らかく変化する

  • 北鎌倉の舎-11

    庭への視野を拡げるコーナー窓。ニッチはどこか暖炉のようなイメージに

  • 北鎌倉の舎-12

    シンボルツリーでもある既存樹のもみじが、家を見守るような配置にある。
    台風対策として雨戸を設けた、戸袋の木部が外装デザインのアクセントになっている

  • 北鎌倉の舎-13

    2階入り口

  • 北鎌倉の舎-14

    将来はお子さんの部屋。ギャラリーのような白い空間

  • 北鎌倉の舎-15

  • 北鎌倉の舎-16

    既存の階段はクライアントと最初からそのまま残すと決めてあった

  • 北鎌倉の舎-17

    寝室の窓は、安心感を優先した大きさにデザイン。
    壁の厚みは「守られている」感覚を生みやすい

  • 北鎌倉の舎-18

    風の動きが見えるベールのようなカーテン

  • 北鎌倉の舎-19

    築70年以上を経た既存家屋

  • 北鎌倉の舎-20

    何度か改装の手が入っていた既存内部空間

prev

next

北鎌倉の駅から徒歩10分程、鎌倉らしい川沿いの道を歩き、車の入れない谷地の狭い小道をさらに登ってゆくと鎌倉の自然に囲まれた静かな場所に「北鎌倉の舎」があります。
建物は築70年以上となる木造2階建ての住宅で、一度大きく改装されていて、室内はきれいな状態でした。
この建物を購入され、自分たちの暮らしにあった空間に変えたいとご依頼をくださったクライアントは、20代の若いご夫婦でした。以前設計した改装住宅「二人舎」をSNSでご覧になり、イメージする家づくりに合っているとご相談をいただきました。
鎌倉という土地は奥様の地元でもありますが、当初は自分たちの理想の暮らしを求めて、軽井沢をはじめ各地の敷地・中古物件なども見てまわり、結果たどり着いたのがこの趣のある北鎌倉の古民家だったそうです。
お二人は北欧への渡航経験や、北欧家具や建築がお好きであること、ダイニングテーブルや椅子などもすでに北欧デザインの家具を好んでお持ちでした。またワインとコーヒーを愉しむのが趣味であることなど、明確に自分たちの暮らし方を持っていらしたので、その暮らしを「空間」によって、より楽しくそして充実したものへと拡げられるか。そのことに主眼をおいて設計にあたりました。


−ご提案のポイント−


  • 鎌倉の豊かな自然(四季)を室内から感じ取れるように、ダイニングには風景を取り込む張り出し窓と、くつろげるオリジナルで製作したソファを設けて、生活と空間に豊かなひろがりを作り出すこと。

  • 庭正面となるリビング窓の意匠を木製建具とし、外にひろがる庭の様子や、シンボルツリーでもある大きなモミジの木など、四季を通じて鎌倉の自然を愉しめ、日々の暮らしのよりどころとなる温かみのある窓辺にすること。

  • 耐震補強は、建物の大半が平屋であることから、2階を支えることを中心に補強とする。

  • 谷地による冬の日照時間減少や寒さ対策として、内装をすべて解体して断熱化を施すこと。

  • 機能的な暮らしを実現するため、キッチン廻りや回遊動線を工夫し、暮らしやすい間取りにすること。



−デザインの工夫−

  • 古民家の趣がある丸太材の梁や、古い階段は残すことで、新旧のバランスを取っています。

  • くつろぎのスペースには曲面を効果的に使うことでやわらかな印象の空間に仕上げています。

  • 谷地特有の湿気対策や快適性向上のために、空気の対流を生み出す空間構成と回遊動線とすることで、暮らしやすく機能的な住まいを実現しています。



−敷地環境を整える外構工事−

鎌倉エリアは海と山に囲まれた素晴らしい雰囲気を持つ土地ですが、湿度の高さが環境面でのネックであり、築年数を経た建物への影響については、設計当初からの懸念材料でした。そこで環境再生にも力を入れている造園家「Siturae(シツラエ)」さんに相談し、敷地内の環境改善工事をご提案頂きました。クライアントもその必要性に共感して頂き、「敷地内の排水環境を整える」外構工事を行っています。
敷地内に埋設されていたコンクリートの排水溝は撤去して自然石を積み上げた小川へと形を変え、敷地を囲う擁壁に沿って水道を新たに作り、土壌の水の流れを滞らせることなく染み込ませ、また排水してゆく。いわばできるだけ自然な姿へと戻してゆくような工夫を施しています。
敷地環境整備後、クライアントのお二人も実感として効果は感じ取れると言って頂きました。今後の経過についても、引き続き観察を行っていきたいと考えています。
「北鎌倉の舎」竣工と共に、第一子となるお子さんが生まれご家族の新しい暮らしがスタートしました。庭に流れる小川でお子さんと蛍を育てるのを楽しみにされています。

所 在 地  :神奈川県鎌倉市
主要用途 :専用住宅 
建築面積 :65.32㎡(19.75坪) 
延床面積 :81.46㎡(24.64坪) 
構造・規模:木造2階建て  
家族構成 :夫婦子供一人
施 工    :株式会社遠山工務店/清水貴之・中島忠昭
外構工事 :合同会社シツラエ/村田 康行
竣工写真撮影:石曽根昭仁