2021. 06 / 03 [ 建築のこと ]
64年物の梁
ワインで65年物というとヴィンテージだから、築65年以上経っているこの家の梁もそうして見ると
なかなかのものである気がしてくる。地震に耐え、風にも耐えてきた。
そこには時間を経ないと生まれようのない雰囲気があって、改装の面白さはこうしたモノが持つ
時間の中に新しいデザインという時間を対比させ、調和させることだと思う。
古民家改装というジャンルになる計画には、よく対比の要素が強いものが多いけれど、
一番重要なのは新旧の調和で、同じデザインの言語でまとめられるかをとても意識している。
施主もまた古民家を強調した改装計画ではないものを求めて依頼して頂いているので、
形になってきた現場を見て回る度に、そのバランスを一つ一つを確認している。
さらに、今回とくに意識したのは空間の“やわらかさ”で、取り込む光や壁の印象からやわらかさを
感じる場所にしたいと思っています。それは施主の人柄や趣味から感じたことで、
住まい手の人となりを設計者の感性や共感によって空間へと転化したいと思っています。
ウッドショックの影響もあってちょっと遅れ気味ですが、あと二山くらい越えれば竣工が
見えてきます。
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