2021. 05 / 29 [ 道具 ]
道具 № 4 腕時計
― 静かなデザイン ―
とにかくシンプルで時刻の読みやすい。原点のような腕時計をずっと探していました。
ある時、通称「国鉄ホーマー」と呼ばれる国鉄時代に職員に支給されていたシチズンのホーマーを
知ってほしくなりました。
不要な装飾はなく文字が浮き上がるように見えて視認性抜群。
これ以上はなかなか引くことのできないデザインにはむしろホッとします。
「そう、これでいい」と思える一品。
もちろん買ったものは中古品。民営化へと移行する後期のものでクォーツです。
裏ぶたに官給品らしく「昭和60年 天鉄」の刻印があります。なんだかちょっと懐かしい。
勝手にこういうシンプルなデザインを「静かなデザイン」と呼んでいます。
これ見よがしな主張してくるデザインがなく、生活のシーンに馴染みやすくて、
静かに人の心をホっとさせるようなもの。
昔からの定番と言われるものには、この要素があるように感じます。
長く愛されるためには、一時のデザイン的主張は不要で、飽きの来ないふつうのデザインが
よく考えられていることが必要ですが、この時計にはなんだかそのすべてが詰まっているように
感じています。
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