2024. 03 / 29 [ 建築のこと ]
コンクリートは打つもの。
配筋工程が終わってすぐに基礎コンクリート打設が行われました。
現場では単に「打設」と呼んだりしますが、写真の黒いホースから鉄筋組の間に流し込んでいるコンクリートが、なぜ打設と呼ばれるか?ちょっとした雑学のようですが、コンクリートは「流し込む」とはいいません「打つ」と言います。
これは、流し込んだコンクリート中の空気や不要な水分を専用の道具を使って表面を叩いて締め固めることに由来します。コンクリート造などでは型枠を木づちで叩く作業もあり、こうした叩くという作業から総じて「打つ」というようになったのだそうです。コンクリートを流し込んだ後の作業から作業名称がつけられたということなんです。
下の画像の平板がついた道具が「タイピング」といって、職人さんがこれでコンクリートをガシガシと叩いていきます。叩いた後、最終的にコテという道具で滑らかにします。パティシエがショートケーキの生クリームをスポンジ生地にきれいに塗る作業なんかも見ていて気持ちいいと思うんですが、左官職人がコテで滑らかにしていく作業も同じような気持ちよさがあります。なんというか独特な魅力を感じます。
住宅基礎にコンクリートを使用するのは戦後に一般化したそうで、べた基礎の普及は阪神淡路の震災からとなっています。べた基礎に関しては意外と歴史は浅い。
世界史的には、9000年前にコンクリートは存在しており、2000年前のローマ帝国時代では多用されています。このローマのコンクリート=ローマン・コンクリートは未だに強度を保っている驚異的なコンクリートとして知られています。もちろん無筋コンクリートですが混入された火山灰により軽微なヒビを自己修復するという能力が確認されているそうです。現代のコンクリートの寿命が長くて100年なので驚きの耐久性です。
さて、こうして打設を終えるとコンクリートは硬化に時間がかかります。ただ一定の時間が過ぎたからOKというものではなく、打設時に強度確認用のテストピースを作っておいて、定めた日数の後に試験場で実際にテストピースに圧力をかけて必要強度を保っているかを確認します。当然、現場の基礎では試験できませんから試験体を使います。あくまでも数値による強度確認を取ってから次の工程に移ることができます。とはいえ、コンクリート工場でセメントと水分の比率、アルカリ量など徹底管理されているので、まず試験結果が必要強度を下回ることはまずありません。
基礎養生期間も現場では、型枠の解体や基礎周囲の土の埋め戻しなどを行います。
そして次の工程はいよいよ上棟となります。柱梁が組みあがるのでここで家の形が見えてきます。ものすごく楽しみです。ぜひ快晴の中で行えるといいと思っています。
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